【シャープ横断♪バトンリレー】第43走者◆ピンチはチャンス!会社の危機で感じたこと、そこで得たものとは?
ある日、倉持さんから「今バトンリレーが回ってきてるんだけどどうしよう・・・」と相談を受け、「もし引き受けるなら、次は私に回していいよ」と軽く答えたら、案の定バトンが回ってきました。SAS事業本部 PCIヘルスケア事業部 品質部の山田です。
せっかく多くの方に読んでいただける記事ですので、自分のこれまでの会社人生を振り返りつつ、少しでも皆さんの役に立つ内容になればいいなぁと願って書いてみようと思います。
■入社後の最初の配属
私は2012年入社で、最初の配属はプラズマクラスターの技術部でした。といっても、最初は空気清浄機などの製品開発ではなくイオン発生デバイスの開発や、プラズマクラスターの効果効能検証などをやっていました。さらに、プラズマクラスターをさらに発展させたデバイスの検討など、要素技術的な仕事もさせていただいて、「まだ何者でもない若輩者の私に会社はこれだけたくさんお金や時間をかけてくれるんだ」と感激した記憶があります。
中でも、最初に携わった「イオン濃度100,000個/cm3」のイオン発生機<IG-GA130>は特に印象に残っています。残念ながら大ヒット商品とはなりませんでしたが、たくさんの苦労が詰まった製品です。
(ご興味ある方はぜひこちらもお読みください→特化タイプ(消臭、アレル物質の低減) IG-GA130 | プラズマクラスターイオン発生機:シャープ)

■2012年といえば・・・
一方で私が入社した2012年といえば、シャープが過去最大規模の赤字を記録した年で、新入社員ながら、社内に動揺が広がっている雰囲気は肌で感じていました。2~3年目になると周りの先輩や上司が次々と辞めていって「本当にこの会社にいて大丈夫だろうか?」と思ったのが正直なところです。
そんな状況で私は、元パナソニックで、現在一般社団法人ONE JAPANの代表理事を務めてらっしゃる濱松誠さんのお話を伺う機会があり、彼が語った「辞めるか、染まるか、変えるか」というメッセージに強い感銘を受けて、「辞めるも染まるもつまらない、自分だったら”変える”だな」という考えに至りました。今思えば怖いもの知らずですね(笑) とはいえ、企業変革に対して何のスキルも経験もなかったので、社外のいろんな勉強会やセミナーにとにかく参加して、たくさんのことをインプットしました。3年目のときに、八尾事業所で有志の組織改善チーム「YAOプロジェクト」を立ち上げ、若手を中心に多くの方に関わっていただきました。実はシャープには当時全社で「カエルプロジェクト」というものがあって、奈良や天理、広島など多くの事業所で同じような組織改善の取り組みをされている方がたくさんおられました。当時本社があった西田辺で関連するメンバーが一堂に会したときは、みなさんのバイタリティーや熱量に圧倒されつつも、ここにいるみんなとなら何でもできそうな気がする、という気持ちになったのを今でも鮮明に覚えています。最近はめっきり会うことはなくなりましたが、今でも何か困ったことがあれば気軽に相談しようと思える大切な仲間です。
カエルやYAOプロジェクトではいろんなイベントを企画しました。毎月勉強会をやったり、天理では大運動会をやったり、八尾で謎解きゲームをやったり、本当に楽しかったです。最初は社内でどうやってそんなイベントやるの?と試行錯誤しながらの日々でしたが、きっちり提案すればたくさんの方が協力してくださり、いろんなことが実現できるんだという手ごたえをこのときに感じていました。
写真は若手メンバーで企画したスポーツチャンバラ大会の様子。子どもさんもたくさん参加されて、大いに盛り上がったイベントでした。


YAOプロジェクトとしては、八尾事業所で月に1回勉強会を開催していました。テーマは本当にバラバラで、読書会をやったり、EXCELの使い方講座をしたり、社外から講師を招いてご講演いただいたり、約1年ぐらい続けていました。


■製品開発、そして品質部への異動、コロナ禍の海外出張
仕事の話に戻ります。技術部でデバイス系から製品開発のグループに異動し、空気清浄機や脱臭機などの製品の性能評価に携わりました。そして2019年には、現在所属の品質部へ異動となります。それとほぼ同時に、ベトナムの生産拠点の立ち上げ業務があり、それまでほとんど海外出張経験のなかった私が、
1年の半分をベトナムで過ごすという事態になりました。
というのも、ちょうどそのころは新型コロナウイルスが猛威を振るっていた時期で、海外渡航には2週間~4週間の隔離期間が必要でした。ですので、頻繁に往復するのは効率が悪く「一度渡航したらしばらく行きっぱなし」という状態になったわけです。
品質部に異動して間もなかった私は、こうして右も左も分からないうちから長期の海外出張となったのですが、結果的には拠点の立ち上げという貴重な経験ができてよかったと思っています。現場のスピード感を肌で感じながら、何かあれば業者へ行って現物を見て会話し、量産直前で部品不良が見つかるなど絶望的な状況にも必死に立ち向かって進めていきました。品質部として重要な「三現主義(現場・現物・現実)」を、この出張で頭と体に叩き込まれた気がします。
写真は、コロナ禍でのベトナム出張時の空港での一幕。なんと防護服が配られて、それを着た状態で飛行機に乗り、そのままホテルまで連れていかれました!


また、当時ちょうど鬼滅の刃の映画が日本で大ヒットしていたころで、たまたまベトナムで上映会があったので、日本で見る前にベトナムで見ることができました。音声は英語とベトナム語の字幕があって文字がとても邪魔だった記憶があります(笑)
■最近のお仕事
品質部に異動してしばらくは空気清浄機がメインのお仕事でしたが、最近はそれ以外のいわゆる「季節商品」を担当することが多いです。(扇風機、除湿機、加湿機、暖房機など・・・)その中でも昨年発売して、PCIのカテゴリーで大ヒット商品となったのが「サーキュレーター」です。開発は非常に難航して、生産工場がある中国に何か月も出張して量産までなんとかこぎつけた製品です。ここではかけないような色々な問題もありましたが、今でも多くの方に使っていただけているようでうれしい限りです。

■最後に
ここまで振り返ってみて、やはり大事なのは「人とのつながり」だなぁと改めて感じます。若いころに八尾を飛び出し、会社を飛び出し、いろんな人と関わりを持てたことは今の自分の財産になっています。また海外出張でも、メールだけのやり取りだった人たちとFace to Faceでコミュニケーションをとることで、色々なお願いもしやすくなり、格段に仕事がやりやすくなりました。若いころに「組織を変えよう」と息巻いていた私ですが、「変える」ではなくまずは自分自身が「変わり」、自分と関わる人たちにその影響が広がって、身の回りから少しずつ変わっていくしかないんだなぁというのが、これまでの社会人人生の中での私なりの最大の気づきです。
ここまで長文にお付き合いいただきありがとうございました。
次のバトンは
SAS事業本部 PCIヘルスケア事業部 海外PCI商品企画部
西村美咲さん
にお渡しします。私とはまた違った経歴をお持ちですので、どんな記事を書かれるのか今から楽しみです。よろしくお願いします。

(山田慶太郎/SAS事業本部 PCIヘルスケア事業部 品質部)
≪シャープ横断♪バトンリレー≫とは…?
みなさんの人脈を駆使しバトンのようにコラムを繋いでいくという、太古の昔からある数珠つなぎ企画!第43走者はSAS事業本部の山田さんでした。第44走者は、山田さんからバトンを託された西村さんです。お楽しみに♪

