【シャープ横断♪バトンリレー】第47走者◆数字の奥の “ひとり”を見る
初めまして。女部田さんからバトンを受け取りました、SAS 国内キッチン 冷蔵商品企画部の高木です。
女部田さんの記事は、ソフト審査会の時期に女部田さんが大変そうだったことを思い出しながら、楽しく拝読させていただきました。
今回は、シャープに入社するまでのことと、女部田さんのリクエストにあった冷蔵企画の業務について、少し個人的な視点も交えて書いてみたいと思います。
■大学のことと冷蔵商品企画の志望理由について
大学では、基本的に「人間とその運動」のことについて勉強していました。
例えばものづくりに関わるところで言うと、「触覚の科学」というものがあります。
同じプラスチック素材を扱う場合でも、プラスチック表面のテクスチャ加工の仕方によって、その素材を触れた時に感じる印象は変わります。これは、ひとの「触覚」がそれだけ精緻に、微妙な凹凸や摩擦感などの変化を感じ取れる、高い弁別能力を持っているためです。そして、企業によっては「高級感」を感じるプラスチックのテクスチャ開発を、研究機関と共同で行っている例もあります。
表面の触感という「部分」に関する感覚が、製品「全体」の品質を高く感じさせる――いわゆる「ハロー効果 」を活用した取り組みです。(同じ価格のプラスチックのパーツなのに、「製品」そのものの見え方が変わる…不思議ですね!)
こういったことを勉強している中で、人間の面白さ、そしてその探求領域の広さに感動を覚えました。
そしてその先で、人間が扱う製品や、人間の認知活動を対象とするマーケティングという領域で仕事をしたいと思うようになり、企画職を志望しました。

余談ですが、内定後の配属面談で「冷蔵がいいです」と答えたところ、とても珍しがられました。
もともと「食」に関連することが好きだった上、ある程度大きさのある構造物、という点が面白そうだと感じ、冷蔵を選びました。
そして、配属後すぐに冷蔵志望だったことを部門内で話したのですが、「冷蔵企画をピンポイントで志望してくる人はいない」という前提があったようで、何ヶ月かしてから再度「冷蔵企画を志望してきた」という話をしていると、そうなの!?と驚かれてしまいました。
配属直後の発言はおべっかだと思われていたようです。
冷蔵志望の人、ここにいますよ!!
■大阪について
他にも、シャープの白物を希望した理由の一つに大阪で働きたかった、ということがあります。
わたしは小学生の時には徳島に住んでいて、中学生から東京に引っ越しました。引っ越してからは、どこに行っても都会な首都圏に少し苦手意識を感じ、早く逃げたい!とずっと思っていました。
そして2年前、無事八尾配属となり大阪で働くことになりました。人事部の皆様、受け入れてくださったキッチン部門の皆様には感謝 しております!
大阪に来て一番素晴らしかったことは、個人経営の喫茶店が多いことです。
同じ企画部の先輩の杉本さん(なんとお父様が喫茶店を経営されていたそうです)に沢山美味しいお店に連れて行っていただいて、それからは、大阪最高!と日々思っております。

■仕事について
大学で運動の学習をしていた中で、プロの中でも別格な大谷翔平選手のデータは「外れ値だから参考指標には不向き」とする、統計的に扱いにくい「n=1」を排除することが合理的とされる一般の価値観と、個々人の運動メカニズムをより深く解き明かしたいという自身の想いの間で葛藤がありました。
そしてそれは今でも同じです。
製品づくりの難しさの一つは、お客さんが「何が欲しいか」や「なぜそれを選んだか」を、必ずしも言語化できない点にあります。例えば某ファーストフード店の例で、アンケートでは「ヘルシーさ」を求める声が多かったにもかかわらず、実際に売れたのはジャンキーな商品だった――という有名な事例があります。
こうした点から、「n=1」を十分に捉えられなければ、「n=1000」のデータからも本質的な理解には至らないのではないか、と感じるようになりました。
本当は、市場で指摘される前に、顕在化していない要素や、声が上がりにくい領域まで先回りして考慮したい。
しかし、製品開発では多数の販売員の方やお客さんに「言われていないこと」は「検討の価値がないこと」こととされる価値観が一般的には多いため、難しいだろうと考えていました。
ただそういった価値観が多い中、「棚の設計の視覚効果」について、BU内で考えをお話しさせていただいて、実際にその意見を企画部内や、技術、デザイン、プロモ、そして品質部の方々に考慮いただき製品実装に反映していただいたことがあります。
下記のように、冷蔵室内の棚はフレームが小さく、ガラス面は大きい方が庫内が広く見えてより良いのではないか、という話です。
(もちろんフレームが広いのにもメリットはあるのですが、現行品では視覚効果の優先度が高いと考えました)
当時はそれこそn=1に近く、市場ではあまり見られない意見だったとは思うのですが、ひとつの仮説として拾っていただき、実際に今年発売の製品の設計に反映していただきました。
そしてこの件ついては、課題として取り上げていただいた時から2年後の今になって、同様の指摘が市場から目立って上がってくるようになりました。
もし2年前に「n=1の感覚だから」「市場で言われていないから」と退けられていたら、(本当にその意見が有用かは別として)市場からのフィードバックを反映できるのは、さらに2年以上先になっていたかもしれません。
このようにn=1の声も切り捨てずに深く探求していきたい一方、わたしは少数の事例や、自分が感じたことについて「普遍的な真理だ!」と誤認してしまう思い込みの激しい部分があるので、その点には注意が必要だと自戒しております。
思い込みには気をつけながらも、数字の裏には必ず「1人の人間」がいるという視点を忘れず、半歩先を見据えた企画に取り組んでいきたいです。
■次のバトン
ここまで読んでいただきありがとうございました!
次のバトンは、
ブランド戦略本部 総合デザインセンター UXDグループ
伊藤汰地さん
にお願いしたいと思います。今年度リリースのCOCORO HOME AIの開発にご協力いただく中で、隣で次々と新しいデザイン案を作成されていく伊藤さんの姿に感動しておりました。
UXD視点でのお仕事について、是非お聞かせください。 よろしくお願いいたします。

(高木泰志/SAS事業本部 国内キッチン 冷蔵商品企画部)
≪シャープ横断♪バトンリレー≫とは…?
みなさんの人脈を駆使しバトンのようにコラムを繋いでいくという、太古の昔からある数珠つなぎ企画!第47走者はSAS事業本部の高木さんでした。第48走者は、高木さんからバトンを託された伊藤さんです。お楽しみに♪



