【シャープ横断♪バトンリレー】第39走者◆インターンで入社を決意!近接照度センサの性能VS配置エリアの狭小化!
◇はじめに
こんにちは。
塚原さんからバトンを受け取りました通信事業本部 次世代通信事業統轄部 第二開発部の角です。

ここ何回かのバトンリレーが、各事業所のテニス部の方が書く流れになっていて、…→郡山→福山ときていたので、次は広島かと思っていたら、私のところにきました。この話を聞いたときに、私、けっこうな陰キャ・コミュ障だけどこのような場にでてきて大丈夫かと迷いましたが、流れに逆らわず、何か書いてみようと思います。(GWのテニス部の春合宿で直接、念押しされるとは思わなかったです笑)
◇これまで経験してきたことについて
入社してからはずっと広島ですが、その中でこれまでの経験と苦労してきたことについて、書いていきます。
■インターンシップ時代
私は2009年入社ですが、私とシャープとの関係は入社する2年前にインターンシップに参加したところから始まります。(シャープのインターンシップを経験した上で、シャープに入ってくる人は非常に珍しいサンプルだと思いますので、ちょっとだけ触れておこうと思います笑)
インターンシップでは通信システム事業本部 プラットフォーム開発センター デバイス開発部にお世話になり、「携帯電話向け新規LSIの評価」というテーマ(だったと思う)で、約3週間、シャープの業務を体験しました。LSIに搭載されている機能の1つの“IRリモコン”機能の評価でAQUOSのリモコンのIR信号の波形を解析して、リモコンと同じ動作ができるかを評価するプログラムを作ったのを覚えています。この時の達成感と、“指導していただいたデバイス開発部の方々”や“業務外でもお世話になった当時の若手の先輩社員の方々”の人柄やモノづくりに対する想いに触れ、シャープに応募しようと決意しました。
入社後に、インターン時代に作った評価プログラムがまだ使用されていることを聞いて、ちょっとうれしかったです。
■入社後、半年間のサービス実習
2009年4月、内定から入社までの間にリーマンショックというものが起き、社会全体の先行きの不安を大きく感じながら入社。新入社員研修の時に「技術系は半年間のサービス実習、ビジネス系は1年間の営業実習」と聞かされた時に、衝撃を受けたのと「これから大丈夫かな」と不安になったのを覚えています。
このサービス実習では私の地元の石川県にあるSEK金沢サービスセンター(当時)にお世話になり、家電製品の訪問修理に同行しました。さまざまなシャープ製品の修理を経験する中で、製品を使っていただいているお客様の生の声をたくさん聞くことができました。最初は不安でしたが、振り返ってみれば、とても貴重な経験ができたと思います。
■デバイス開発部(先行開発)
2009年10月、半年間の実習を終え、通信システム事業本部 プラットフォーム開発センター デバイス開発部(当時)に配属されました。インターンシップでお世話になったところと同じところというのもあり、これからのワクワク感に加え、ちょっとしたなつかしさも感じていたのを覚えています。ここでは携帯電話やスマートフォンに搭載されるデバイスや、機能のハードウェア的なシステムの検討に携わりました。
初めて担当した業務は”携帯電話向けソーラーパネルの性能改善、最適化の検討”というもので、当時は携帯電話にソーラーパネルを搭載したソーラーケータイというものがあり、その次機種以降にむけて機能向上を検討するものでした。が、その次機種がなかったので、検討結果が商品に反映されることはありませんでした(涙)。先行調査・先行検討として新しい技術やデバイスに触れる機会が多かったですが、その中で実際に商品に搭載されるのはごく一部であることを知りました。
そんな中、入社3年目くらいのとき、スマートフォンに搭載される機能の立ち上げに携わったことがありました。それはダブルタップによる画面点灯というもので、スマートフォンの利便性を向上させる取り組みの一つとして、ユーザーがスマートフォンを使うときに電源キーを押さずに表示画面を点灯させる手段としてこの機能の搭載が検討されました。今のシャープ製スマホに搭載されている「自動画面点灯」機能(スマートフォンを持ち上げるだけで画面が点灯する)の最初の取り組みだったと記憶しています。私はこの中で、ハードウェアの評価やダブルタップ検出のパラメータ設計、試作機に搭載後のダブルタップ検出率の評価などを行いました。このダブルタップ検出の搭載にあたって、さまざまな関係部署の方々と協力して進めていきましたが、私自身、一番苦労したのがダブルタップの検出率を向上させるために何度も検出のパラメータを調整したことでした。人の指でタップするときに端末に伝わる振動を検出するために、加速度センサ(物体の運動や振動を検出するセンサ)を使用していましたが、タップの振動の大きさや幅、タップの間隔が人それぞれ異なる(クセがある)ため、どんな人のタップでも検出できるようなパラメータに調整することに苦労しました。通信の事業所内の老若男女さまざまな人に協力をお願いして、数十人分のダブルタップの検出率の評価と指の振動データを集め、そのデータを解析して、パラメータを調整して、再度ダブルタップの検出率の評価を行い、検出率の向上を図っていきました。いろいろな方の協力をいただいて無事に機能が搭載されました。

(2012年11月26日のニュースリリース画像)
■回路開発部(機種開発)
そこから何年かたって、先行開発からより商品に近い機種開発を行う回路開発部に異動しました。ここでは主にスマートフォンのセンサ周りの回路設計を担当するのに加えて、工程検査といった生産に近いところも経験しました。スマートフォンには加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ、近接照度センサといった色々なセンサが搭載されていますが、センサそれぞれに配置箇所や周辺構造の制約があり、それによって性能が左右されるので、それぞれの性能を確保できるように考えていくのが大変でした。
その中でも特に苦労したのは近接照度センサでした。このセンサは主に通話時にスマートフォンを耳に近づけたときに画面を消灯する、画面を見ているときに周囲の明るさに合わせて画面の明るさを調整することに使用されます。表示面側に配置し、ガラスパネルの縁に近接窓を開ける必要があり、この近接照度センサから見た窓の開口角度の大きさが性能に関わってくるのですが、商品のデザイン性の観点から、表示面の狭額縁化が進み、だんだんとセンサを配置できるエリアが狭くなっていきました。
こうした厳しい条件の中で、性能を出すためにギリギリを攻めすぎた設計をしたため、試作・生産で毎回のように問題を出してしまいました。例えば近接センサは、センサから発光された赤外線が物体に当たり、反射してきた赤外線を受光することで、物体が近くにあることを判定するものですが、攻めすぎた設計をしたばかりに、部品や組み立てのばらつきで端末内部で反射してしまう、という問題が起きました。
このときはどこに反射のパスができているかを特定し、その対応策を関係者と協議し、商品に反映していきました。関係部門のいろんな人に怒られながらも、協力いただき、試行錯誤を重ねながら問題は解決できました。
現在は、OLEDパネル、近接照度センサ自体の技術の進化もあって、画面裏にセンサを配置できるところまで機能が進化していますが、この画面裏の近接照度センサの立ち上げも非常に苦労しました。開発途中で事前検討のミスに気付いて、部品変更したり、やや新しい取り組みのため、生産時の組み込みや検査でも問題が起きたりといろいろやらかしました。迷惑をかけるたびにたくさんの人に助けてもらったので、当時の開発に関わったメンバーの方々には感謝しかありません。
当時はメンタルが壊れそうなくらい苦しかったですが、その分やりがいもあったと思います。
■現在の仕事について
2023年4月、衛星通信アンテナの開発とそれを活用したビジネスの立ち上げのために新設された、新規事業開発統轄部 第二開発部(現 通信事業本部 次世代通信事業統轄部 第二開発部)に異動し、現在に至ります。この衛星通信アンテナについて簡単に説明すると、ビームフォーミングという技術を使って、宇宙空間を周回する人工衛星と通信を行うことで、屋外であれば、地球上のどこでも(海でも、山でも、砂漠でも)インターネットが使えるようになるというものです。

私はここでは衛星通信アンテナのハード開発として、センサを活用してアンテナの姿勢検出・姿勢推定を行うACU(アンテナコントロールユニット)の部分の開発に携わっています。新規事業ということもあり、手探りで進めているところも多いですが、いろいろな人と協力しながら、衛星アンテナの姿勢推定の実現に向けて、業務を進めています。
衛星アンテナの試作品を持って、協業先との船上PoC※や屋外での常設試験を実施し、得られたデータなどを開発に活かしています。
センサ活用の観点になりますが、センサの性能や制御アルゴリズムがアンテナの性能に直接影響してくるのでよりシビアな精度を求められるところがスマートフォンを開発していた時との違いなのかなと思っていて、現在直面している課題でもあります。これからも(今も)多くの困難にぶち当たっていくと思いますが、乗り越えていきたいと思います。
※「Proof of Concept」の略で、概念実証と訳す。新しいアイデアや技術、サービスなどの実現可能性を検証するプロセスのこと。




◇趣味について
趣味はテニスです。今年で25年になります。私のことを一言で表現するなら、テニスバカです。シャープには各事業所にテニス部があり、年に2回、春の合宿と秋の事業所対抗戦で集まってテニスをしています。初級者から上級者までいろんな人がいて、みんな面白くていい人ばかりで楽しくテニスできます。テニスを通して、各事業所との横のつながりみたいなものができるのも良いところかなと思います。もしテニスに興味がある方がいましたら、ぜひシャープテニス部で一緒にテニスをしましょう!
私は会社のテニス部以外にも社会人チームにも入って週数回程度テニスをしていて、年に何回か大会にも出ています。練習で楽しくテニスをするのもいいですが、緊張感のある試合の中でバチバチに相手と競い合うのも楽しいです。



◇最後に
ここまでこの拙い文章を読んでいただいてありがとうございました。この機会にシャープに入社してからの十数年を振り返って、やらかしたこともたくさんありましたが、いろいろと挑戦する機会もたくさんあり、思っていたより恵まれていたなと感じました。また、仕事を通しての多くの出会いにも感謝します。これからもいろいろと挑戦していきたいと思います。
次のバトンは
通信事業本部 パーソナル通信事業部 第二ソフト開発部
飯島賢一さん
にお渡しします。飯島さんよろしくお願いします。

(角隆文/通信事業本部 次世代通信事業統轄部 第二開発部)
≪シャープ横断♪バトンリレー≫とは…?
みなさんの人脈を駆使しバトンのようにコラムを繋いでいくという、太古の昔からある数珠つなぎ企画!第39走者は通信事業部の角さんでした。第40走者は、角さんからバトンを託された飯島さんです。お楽しみに♪