オススメの一冊(47)答えは市役所3階に~2020心の相談室~

みなさんから募集した、とっておきの書籍を紹介します。ご自身の参考や、ご家族に紹介したくなる一冊とめぐり会えるかもしれません。

答えは市役所3階に~2020心の相談室~ 

辻堂ゆめ 著 (光文社)

物語の舞台は、新型ウイルスの感染者が日本で確認され、誰もが先の見えない不安を抱えはじめた2020年。
日常の当たり前が少しずつ変わっていく中、とある市役所に無料の「こころの相談室」が開設されます。

そこを訪れるのは、就職活動に行き詰まる高校3年生、育児に悩む親、仕事や人間関係に疲れた人など、私たちの身近にもいそうな相談者たち。それぞれが胸の内に抱える悩みは切実で、読んでいるうちに思わず自分自身や周囲の人の姿を重ねてしまいます。

相談者の言葉に丁寧に耳を傾けながら、語られない本音や小さな嘘を見抜いていくカウンセラー。そのやり取りは温かいだけでなく、謎解きのような緊張感もあり、ページをめくる手が自然と進みます。悩みの奥に隠された真実が少しずつ明らかになる展開は、ミステリーとしても読み応えがあります。

連作短編集として一話ごとに読みやすく、それでいて最後には物語全体がやさしくつながっていく構成も魅力です。不安の多かった2020年を背景にしながらも、読み終えた後には心が少し軽くほっこりした気持ちになれ、人に寄り添うことの大切さを感じさせてくれる一冊です。ぜひ手に取ってみてください。

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