【シャープ横断♪バトンリレー】第49走者◆リーゼント師匠と、扇風機とエアコンと。

2015年、デザイナーとして入社した私は、その夏、なぜかエアコンを売っていました。

どうも谷です。伊藤さんからバトンがきました。デザイン部門にいます。

普段はアプリのデザインをしています。
オフィスで使うコピー機から、日々欠かせないスマートフォンまでいろいろやっています。

そんな私が新入社員時代にやったのは、デザインではなくエアコン販売でした。

デザインの話は伊藤さんがたっぷりしてくれたので、今回はそんな新入社員時代の話をしようと思います。

このWEB社内報「SHARP for Family」をご愛読の方には、社員のご家族も多いと聞いています。 みなさんは、シャープに勤める方から「販売実習」の話を聞いたことはないでしょうか。

私が入社した2015年当時、新入社員向けには大きく2つの研修がありました。

工場で冷蔵庫を組み立てる「工場研修」。 そして、量販店で家電を売る「販売実習」です。

我々ひよっこ新入社員一同は、営業部隊のもとで商品知識や接客について勉強したあと、 この販売実習のため、東西の量販店へ散り散りに出荷されていきました。

私が配属されたのは大阪の某量販店、 担当は入口付近のエリア――エアコン、扇風機、空気清浄機が並ぶ売り場でした。

そのとき私のサポート役についてくださったのが、小柄な販売応援のヘルパーさんです。

初対面で真っ先に思ったのは、この人、本当に接客するんかな……?という疑問。 というのも、その方は今どき珍しいリーゼントだったのです。

髪はポマードでテカテカ。 リムレス眼鏡を貫通してくる鋭い眼光と太い眉で形つくられた表情は険しく、口を開くと低い声。

「あんまり変なことしやんでいいからな。(豊富な商品知識が必要だから)いきなりエアコンは難しい。扇風機を売って」

私の口からは、めちゃくちゃ気持ちの良い「はい!」が出ました。

最初は、お客さんに声をかけるだけで緊張して、人見知りの自分には無理だと思っていた接客も、慣れると楽しいものです。

また、勤務するうちにリーゼントさんの面倒見の良さがわかってきました。

私の接客が終わると、近寄ってきて一言二言ぶっきらぼうにアドバイスをし、また去っていく。

そんな手助けもあってか、気づけばDC扇風機とスティック型掃除機をコンスタントに売れるようになっていました。

私の成長を見てくれていたのか、ある日リーゼントさんが言いました。

「そろそろエアコン、売るか。」

ついに!扇風機からエアコンへ昇格です。

しかし、任された役割はお手伝いでした。

「谷、お客さんが入ってきたら真っ先に捕まえにいけよ」

量販店のフロアには、各メーカーの販売ヘルパーがいます。

最初に声をかけた店員が接客できるため、ヘルパー同士は静かに鎬を削っているのです。 リーゼントさんの指示は、エアコン売り場に来たお客さんを真っ先に捕まえるという役目でした。

私が前線でボールを奪ってパスを出し、リーゼントさんが点を決める連携プレイ。

リーゼントさんの接客はうまく、夏の書き入れ時にどんどんエアコンを売ります。

普段の怖い表情は、お客さんの前だと驚くほど柔和。 お客さんの条件を整理して、最適なモデルをパッと導く。

シャープ製・他社製どちらのパターンもありましたが、とにかく速さが段違いでした。

休憩室で聞いた「景気が良いときは真っ赤な外車で出勤していた」というウワサも嘘ではなさそうだな……そんなことを思いながら、横で接客を見て勉強していました。

リーゼントさんが接客中のときや不在の日には、自分でも積極的にエアコンを売ろうとしました。

どんな畳数・日当たりの部屋か、どんな機能が欲しいのか、工事の有無・希望日は……さまざまなことをヒアリングして最適なモデルを提案します。

最初はあんまりうまくいきませんでした。

そりゃちょっと前まで大学生だった人間、リーゼントさんを真似て提案をしても、あまり説得力が出なかったんだろうなと思います。

よし、じゃリーゼントさんの逆をいってみるか。言い切るのではなく、押しつけすぎない説明を心がけ、他社も含めて徹底的にモデルを説明する方向に変えました。

この方式が自分に合っていたのか、エアコンもちょいちょい売れるようになりました。

研修の最終日近く、リーゼントさんから突然「飲み行くぞ」と声をかけられたことがあります。

シャープ組だけで飲むのかと思いきや、お店に行ってみると、その量販店に立っていた各メーカーの販売ヘルパーが全員集まっていました。

日立、東芝、三菱、パナソニック……。普段、売り場で火花を散らしているのに、居酒屋では冗談を飛ばし合ったりしていて妙に仲がいい。

同業者だけど同僚ではない、不思議な距離感がありました。その輪の中に加えてもらえたことが嬉しかったことを覚えています。

研修を終えてデザイン部門配属になり、電卓とメモ帳を握って走り回っていた日々は、マウスとキーボードをお供にするデスクワークになっていました。

研修後、新人はみんな口を揃えて言いますが、いざ働いてみると、エンドユーザーの方々と直に対面する機会はそうないもの。 あの時間は大変だけど贅沢な時間だったのだなと思います。

余談ですが……デザイン部門に入ってすぐ、研修の話になったことがあります。

高いエアコンを売ったことを自慢しようとしたところ、東京有楽町のお店で研修を受けていた優秀な先輩から、「お店で一番高いテレビを売ってヒーローになった」というエピソードが。

エアコンの話はやめました。

情けない気持ちが高まってきたところで、次のバトンは、

SBS事業本部 次世代技術開発センター 第一開発室
西尾達也さん

に託します。ハードな研修を一緒にやり抜いた戦友です。

仕事内容はもちろん、趣味やペットの話などおもしろエピソードてんこもりの人なので一読者として楽しみです。

(谷尚樹/ブランド戦略本部 総合デザインセンター UXデザイングループ)

≪シャープ横断♪バトンリレー≫とは…?
みなさんの人脈を駆使しバトンのようにコラムを繋いでいくという、太古の昔からある数珠つなぎ企画!第49走者は総合デザインセンターの谷さんでした。第50走者は、谷さんからバトンを託された西尾さんです。お楽しみに♪

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