【新任役員紹介】川合 勝博さん

シャープ株式会社 執行役員 兼 シャープディスプレイテクノロジー株式会社 代表取締役社長の川合です。

私は入社後、天理事業所での液晶量産ライン立ち上げに関わる「A1140緊急プロジェクト」に配属されました。それ以来、CGシリコンのプロセス技術の開発、天理や多気での生産ライン立ち上げなどを経験し、液晶技術の基盤を築く仕事に携わってきました。その後、お客様の声を直接知りたいという思いから、アメリカ・シカゴに赴任し、品質サポートや設計センターの所長を務め、リーマンショックを経て帰国後は、営業部門で北米市場を担当し、営業全体の統括を経て現在に至ります。

営業時代の海外企業との交渉からは多くを学びました。ある企業では、技術、購買、法務(リーガル)の3つの部門が交渉に臨み、技術が費用度外視でハードルの高い内容を求め、購買が値段と数量を交渉して決め、最後にリーガルが出てきて契約で固める、というように進めてくるので、こちらとしても非常に綿密な回答をしなくてはなりません。このような経験から、交渉のスタイルや考え方の違いに対する理解が深まりました。

私の海外赴任は1年半と短期間でしたが、それでも現地に赴任した経験は、出張では得られない貴重な学びとなりました。もしチャンスがあれば、積極的に海外に出ることをお勧めします。シャープは「やりたい」と言い続ければ、挑戦の場を与えてくれる会社です。努力はもちろん必要ですが、自ら声を上げ続けてみてください。

現在、液晶業界は厳しい競争環境にあり、中国や韓国の大手企業と正面から競うのは難しい状況ですが、差異化が可能な分野やニッチな市場に活路を見出すことは可能です。シャープの技術力は高く、特にIGZOをはじめとする独自技術を活かせば、真正面からの競争を避けた戦い方ができます。ただし、その技術が単に難しいものだから顧客に受け入れられるわけではなく、顧客にとって価値あるものでなければ意味がありません。技術の提供価値を常に意識することが重要だと考えています。

マーケティングの観点からも、我々のようにキャパシティが限られた組織は、自身の立ち位置と競合を見極め、他社が気づいていない市場を見つける努力が必要です。多少ニッチでも、参入障壁が高く時間的余裕のある分野を選び、自社の強みを最大限に活かすことが求められます。

現在の国際情勢を踏まえると、NCNT(Non China Non Taiwan)やChina+1の考え方を持つ企業にとって、日本に生産拠点を持つ我々には一定の優位性があります。価格競争ではなく価値提供で勝負することが重要です。

当社液晶事業の方針としては「重点分野へのシフトと集中」「生産キャパの最適化」「協業案件の推進」の3点を掲げました。IGZOの低消費電力技術を活かした車載用途、ePosterの製品展開など、特定分野に焦点を当てた展開を進めてまいります。

最後に皆さんにお願いしたいのは、「予見力」を持って行動することです。勝てる市場を見つけ、その先の展開を予測し、戦略を立てて取り組む力が今後ますます重要になります。マーケティング手法を活用し、自社の強みを最大限に発揮できる領域を一緒に見極めていきましょう!

略歴

1989年4月
シャープ株式会社 入社
1989年6月
A1140プロジェクトチ-ム(Aグル-プ)
2005年4月
モバイル液晶本部 システム液晶第2事業部 プロセス技術部長
2007年6月
SHARP ELECTRONICS CORPORATION
電子部品営業本部 品質センター 所長 【米国・シカゴ】
2010年10月
電子デバイス営業本部 海外営業統轄 兼 第一統轄営業部長
2024年4月
シャープ株式会社 執行役員
シャープディスプレイテクノロジー株式会社 代表取締役 社長

余暇の過ごし方

週末はしっかりと休息をとりますが、ゴルフの打ちっぱなしに行くこともあります。2ヶ月に1回くらいのペースでコースに出ています。
食べることが好きで、海外での食事をおもいきり楽しめるよう、普段の食生活には気を付けています。

心がけていること

できるだけロジカルに考えて、先読みをして早くスタートすること。そして「諦めない」こと。私自身会社に入ってから、非常に厳しい状況に追い込まれたことが何度もありました。しかし諦めなければ、そのうち神風が吹いたり、誰かが助けてくれたり、状況が変わったりして、何とかなるものです。最後まで諦めないことが大切だと思っています。

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