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視覚障がいのある生徒へ“働く”を届ける-シャープ特選による出前授業を実施

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大阪府立 大阪北視覚支援学校での出前授業の様子

当社の特例子会社、シャープ特選工業株式会社※1(大阪市 阿倍野区、以下、シャープ特選)は、昨年(2025年)に、大阪府立の大阪北視覚支援学校(以下、北視覚支援学校)と大阪南視覚支援学校(以下、南視覚支援学校)を訪問し、中学部の生徒へ「働くということ」をテーマに出前授業(現地訪問形式の授業)を行いました。シャープ特選の出前授業が始まって以来、初めての視覚支援学校での授業となります。

※1  日本で最初に認定された特例子会社。シャープ特選では、当社創業者 早川徳次の想いを受け継ぐ社会貢献活動として、障がいのある方々の就労支援などの活動を行っています。

視覚支援学校は、視覚に障がいのある子どもたち(幼稚部〜高等部)に対し、幼稚園から高校に準ずる教育を行うと同時に、点字・歩行などの専門的な指導を行う特別支援学校です。

今回のブログは、北視覚支援学校で12月16日に実施した出前授業の様子を紹介します。後半は、学校長および中学部担当の先生を取材し、今回申し込まれた目的や授業に対する感想、今後の授業への活かし方について、伺いました。


■北視覚支援学校での出前授業の概要(テーマ:「働くということ」)

当該校には視覚障がいだけでなく、知的障がいがある生徒も通われています。今回の出前授業には中学部全員(5名)が参加されました。
[ 内訳: 1年生1名(C課程)、2年生4名(A課程1名、B課程1名、C課程2名) ]

* 視覚支援学校では、支援度の必要性などで3類型に分けています(中学部の場合)。
  A課程-視覚障がいのある生徒:普通校に準じた教育を実施。
  B課程-視覚障がいに加え、知的障がいのある生徒:自作教材を活用するなどして学習。
  C課程-視覚障がいに加え、支援度の高い知的障がいのある生徒:心と体の発達を促す授業を実施。


<内容①:シャープ特選について(講義)>

シャープ特選は1950年、第二次世界大戦で視力を失った社員が懸命に作業に取り組むところから始まり、初代代表も視覚障がいのある者が30年間務めました。こうした歴史が、今のシャープ特選を築いていることを紹介しました。加えて、現在のシャープ全体の事業内容や、シャープ特選における障がいのある社員の具体的な仕事内容についてもお伝えしました。

シャープ特選の成り立ちについて説明

<内容②:チームワークを学ぶ(グループワーク)>

シャープ特選の吉永と関守が講師となり、「部品の梱包作業」を生徒全員で行いました。テープ留めや部品の袋詰め、ラベル貼り等の役割分担や作業手順を各自で考えてもらった後、作業をスタート。普段の授業ではあまりない、全員で協力しての作業で、チームワークの大切さを体験しました。

グループワークに先立ち、シャープ特選の関守より
「作業をする上での大切なこと」を説明
梱包にどんな作業があるのかを事前確認
見本を触って完成形を確認
手助けしてもらいながらのラベル貼り
部品の袋詰め
テープ留め
袋詰めする部品が滑らない工夫を体験
完成した箱

<内容③:働くということ(講義)>

働く目的や意義を説明し、イメージを持ってもらいました。続けて、社会で働く上では、挨拶や返事、規則正しい生活、礼儀やマナーが大切であること、そして、できることを自分ですることの必要性を伝えました。

講義の様子(スライドは白黒反転しており、視覚障がいの生徒へ配慮)
点字タイプライターを使い、ワークシートを記入する生徒

<生徒の感想など>

参加していただいた生徒からは、「シール貼りが楽しかった」「箱作りの作業が面白かった」「分からない時には質問すべき、と知った」「分かりやすい説明で今後に活かせそう」「将来に役に立ちそうな内容だった」といった感想をいただきました。

また、「どんな大人になりたいですか?」との質問には、「英語の先生になりたい」「ベルギーで仕事がしたい。パラリンピックにも出たい」、「みんなに優しくしたい。将来は、学校の先生になりたい」「人の役に立ちたい」「優しい人になりたい」とそれぞれの夢を答えてくれました。

● 出前授業の様子は、大阪北視覚支援学校のホームページでも紹介されています。( ⇒ 中学部 シャープ特選工業株式会社様による出前授業


後日、北視覚支援学校を再訪し、太田校長、中学部の藤澤先生、岸本先生にお話を伺いました。

- 北視覚支援学校について紹介してください。

(太田 校長)北視覚支援学校は、1900年(明治33年)に認可され、今年で127年目を迎える歴史のある学校です。幼稚部から、小学部、中学部、高等部(普通科、専攻科)まであり、現在全校生徒は56名。そのうち中学部は5名で、出前授業には中学部全員が参加しました。

 

- 北視覚支援学校の目指すところは?

(太田 校長)大阪府内に在住の視覚に障がいのある幼児・児童・生徒が、明るく楽しく、安心して過ごせる安全な学校をめざしています。また、(1)人や物を大切にする優しい心、(2)変化や多様性を受け入れる広い心、(3)障がいや困難を乗り越えようとするたくましい心、(4)目標に向かって学び続けようとする粘り強い心、(5)自分で考えてやってみようとする自立する心、これらを「育てたい心」の目標としています。

太田校長

- 視覚支援学校ならではの苦労や大変な部分について教えてください。

(太田 校長)在籍数は多くありませんが、年齢で言うと3歳から60歳を超える方まで在籍し、それぞれ異なる教育課程を持っています。加えて、同じ視覚障がいであっても見え方は一人ひとり違いますし、さらに重複して知的障がいがある方もいます。障がいもそれぞれ違う中、きめ細かく指導をしなければいけないのが大変ですね。

(岸本 先生)私は昨年3月まで一般校にいて、知的障がいがある支援学級で教えていたものの、視覚障がいがある生徒と関わるのは初めてでした。例えば、体育の授業では、お手本を見て真似をするのが、最も効率的な方法だと思っていたのですが、視覚障がいのある生徒だとそういう訳にもいかず、すごく難しさがあります。どう伝えたら良いのか、今も悩んでいます。

 

- シャープに出前授業を依頼したきっかけは?

(岸本 先生)昨年4月に来てすぐ進路担当になりました。視覚障がいのある生徒に、どんな進路があるのかも分からない状態で思案していたところ、当校宛にシャープさんからメールが届きました。内容は、教育支援活動の一環としての、職場見学や出前授業のご提案でした。生徒の今後の可能性を拡げるために、企業の話を聞いたり、職場体験をしたりする機会をつくりたいと考えていましたし、A課程の生徒からも、いろいろな企業を見てみたいという声もありましたので、シャープさんの提案はドンピシャだったんです。職場見学のために外に出るのは厳しい生徒もいるので、出前授業をお願いすることにしました。

(藤澤 先生)私も昨年4月に当校へ赴任したのですが、それまで知的障がいのある方を対象とした東住吉支援学校に15年間いました。近隣にシャープ特選さんがあり、実習に行かせてもらうなど、シャープさんは社会貢献活動に積極的なイメージを持っていましたが、わざわざ来て授業をしてくれるのは画期的で、ぜひ出前授業をして欲しいと思いました。

左から、藤澤先生、岸本先生

- 出前授業を受けた目的は?

(岸本 先生)シャープ特選さんとの話の中で、将来どんな大人になりたいか、といった話もしていただけることを聞き、単に企業の話を聞くだけでなく、進路学習の第一段階として、優しい大人になりたいとか、役に立ちたいなど、将来の姿を考えるのが大事だということを理解してもらう良いきっかけになると思いました。私も未経験なことばかりで、どうやって進路学習をしたらよいか悩んでいたので、出前授業を通じて勉強させてもらおうとも思いました。

 

- 先生から見た出前授業の感想を教えてください。

(藤澤 先生)グループワークについては、声がけがあまりできない子たちなので、最初は少し歯がゆい感じで見ていたんですけど、講師の方に上手く誘導していただき、最後は一通り作業をできるようになりました。始める前は、この作業は難しいだろうなと心配していましたが、やればできるんだと分かりました。また、講義では、冒頭、シャープ特選の初代社長に視覚障がいがあったという話を聞かせてもらったのですが、同じ障がいがありながらも社長として頑張られていたことが印象的だった、と翌日に生徒が話すのを聞き、それだけでも、生徒にとってはポジティブに感じられたと思います。

(岸本 先生)作業体験がすごく良かったです。5人が意見を出し合って、僕はこれをする、私はあれをすると、自然に声が出ていましたし、C課程の生徒には、テープやシールを貼るのは、とても難しい内容でしたが、AとB課程の生徒と協力していました。1つ梱包するのも大変なのに、10個もできたというのは、すごく達成感があったと思いますし、1人では難しくても、グループで協力したらできるという成功体験にもなったと思います。C課程の生徒はこの作業は難しいのではないかと心配していましたが、打ち合わせ時、シャープ特選の吉永さんに、協力して一つのものをやることがこの作業体験の趣旨と言っていただき、それならば、と5人全員でやらせてもらいました。本当に良い経験になりました。

 

- 参考になった内容は?また、今後どう活かしていきたいですか?

(岸本 先生)協力して何かをするという経験が不足しているので、協力しあうということの大切さを実感したことが、特に今後の役に立つのではないでしょうか。これから、生徒同士で話したり協力しあったりするような授業を増やしていきたいです。また、どんな大人になりたいか聞いてもらったので、将来についても授業でじっくり考えてもらいたいと思います。

(藤澤 先生)みんなで協力しあえる場面があったのはありがたかったし、細かいことも努力すればできることが分かりました。これをベースに可能性を広げる授業ができればと思います。あと、シャープさんは障がい者雇用に力を入れているだけあって、とても分かりやすい内容でした。今後の参考になりました。

 

- どんな大人になって欲しいですか?

(藤澤 先生)必要な支援を受けながら社会で活躍できるようになってほしいです。自分の好きなこととか、特技とかを活かせる仕事にマッチングできれば良いですね。

(岸本 先生)周りに助けてもらう場面や困ることがあったときに遠慮せず、周りの助けを求められる大人になって欲しいです。

 

- 当社を含め企業に望むことは?

(太田 校長)視覚障がいのある人が働く場所はそんなに多くありません。シャープ特選さんや多くの企業で、視覚障がいの方も働ける場所が増えれば嬉しいです。例えば、当校の卒業生が、従業員の肩こり等の治療を行う「ヘルスキーパー※2」として、企業で雇用されています。シャープさんにもご検討いただければと思います。

※2  ヘルスキーパー:理療の国家資格を持つものが、企業等に雇用されその従業員等を対象にして施術等を行う者の呼称のこと。視覚支援学校を卒業し、あん摩マッサージ指圧師等の資格を取った人の働き口の一つになっています。

北視覚支援学校校長室にて

- お忙しい中、取材にご協力いただきありがとうございました。


「人は外の世界から得る情報のおよそ8割を視覚に頼っている」と言われるように、視覚障がいのある方にとって、日々の生活はもちろん、社会で働くことには多くの困難が伴います。今回の出前授業や取材を通して、その大変さを改めて実感するとともに、生徒の皆さんが自分の特技や興味を生かし、自立して働く未来へ一歩近づくきっかけになればと強く願っています。

これからもシャープおよびシャープ特選は、出前授業をはじめとした社会貢献活動を推進し、未来を担う生徒たちの学びと成長を応援していきます。

(広報H)

<関連サイト>
シャープ特選工業株式会社
大阪北視覚支援学校校長ブログ学校日誌) / 大阪南視覚支援学校

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