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自然から学ぶ、シャープのネイチャーテクノロジー体験!ワークショップ体験記

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 シャープは、生きものが持つ優れた性質や特徴を模倣するバイオミメティクス技術を「ネイチャーテクノロジー」と名付け、2008年より研究開発を進めてきました。これまで、イヌワシやアホウドリの翼の形状を取り入れたエアコンや扇風機、ドライヤー、洗濯機、ヘアブラシなど計24品目の家電製品に搭載し、快適さと環境配慮を両立した製品づくりを進めてきました。

 そんな「ネイチャーテクノロジー」について楽しく学べる体験型ワークショップ「生きものをヒントに生まれた技術を体験しよう!」が、都市型水族館「AQUARIUM×ART átoa」(兵庫県神戸市、以下:アトア)で開催されました。このワークショップに参加してきましたので、当日の様子をご紹介します。

■AQUARIUM×ART átoaとは?

 AQUARIUM×ART átoaはアクアリウム(水族館)を中心に、舞台美術やデジタルアートが融合する劇場型アクアリウムです。アトアの展示は、洞窟、精霊の森、宇宙など幻想的で独創的な空間が広がり、水槽や生きものたち、舞台美術が調和したアーティスティックな世界を体験できます。まるで映画や舞台のワンシーンに入り込んだかのような感覚で楽しめる施設です。

日本最大級の球体水槽「AQUA TERRA」
たこの絵は迷路にもなっています

■ワークショップ体験

 今回は「生命のゆらぎ」ゾーンで体験型ワークショップを実施しました。ここは海中をイメージしており、海の香りが漂い、青い光が差し込む揺らぎの幻想的な空間の中、生命の鼓動を感じられます。

「MARINE NOTE 生命のゆらぎ」ゾーンでワークショップを実施しました

 ワークショップでは、当社最新の冷蔵庫に採用しているシロクマ(ホッキョクグマ)と洗濯機に採用しているマンタ(オニイトマキエイ)をヒントにした技術を実際に体験できました。

シャープの体験型ワークショップブース

 第一問

 極寒の地で暮らすシロクマ。その名の通り、白い毛で覆われていますが、実はその毛、白ではなく透明なんです!


 毛はどのような構造をしているでしょうか?

 その答えを確認すべく、本物のシロクマの毛を顕微鏡で観察しました。

 無色透明で、中はストローのように空洞になっていることが分かります。この構造により、内部で光を拡散し、私たちの目には白く見えているのです。この構造は、極寒の地でも大きな体を温かく保つ役割を果たすためといわれています。

本物のシロクマの毛を顕微鏡で覗いてみました

 シャープでは、このホッキョクグマの毛の構造を、冷蔵庫のLEDライトのカバーに応用しています。凹形状の空洞をカバーの中央部に設けることで、直進的なLEDの光を多方向に拡散できるようになりました。これにより、庫内奥側の照度を高めつつ、まぶしさを抑えています。

 当社の冷蔵庫にはシロクマとクシクラゲの特徴を組み合わせたランプカバーを採用しています。ワークショップでは、ランプカバーなしと4種類のランプカバー、合計5種類の光の拡散を比べました。

【ランプカバーなし】中央の花に光が当たっています

 続いて、第二問

 マンタは泳ぎながら海水ごとプランクトンを口内に流し込み、不要な海水をエラから排出します。

 
 エラはどのような構造をしているのでしょうか?

 エイの仲間であるマンタは、胸びれを広げると横幅4~5mになる大型の生きものです。効率よくプランクトンを捕食するため、活発に動きながら大きく口を開け、プランクトンを含んだ海水を口内に流し込みます。マンタのエラは正解の②のように三角形がならんでおり、この隙間を水が通過します。この構造により隙間に渦が発生し、通過できないプランクトンと通過できる海水に分離されます。これによってプランクトンだけが口内にとどまり捕食できるのです。

 シャープでは、ドラム式洗濯乾燥機の排水フィルターに、マンタのエラの構造を応用した「するポイフィルター」を採用しています。従来の格子状排水フィルターでは、糸くずが複雑に絡まりやすく、掃除の手間がかかっていました。しかし、「するポイフィルター」は、ゴミだけを効率よくキャッチし、絡まりにくい構造になっています。さらに、水がフィルターを通過する際に渦を発生させることで、糸くずがフィルター内に留まりやすく、糸くずが引っかかる方向も揃うため、ごみの取り除きが非常に簡単です。

 ワークショップでは、実際にフィルターの違いによるごみの取れやすさを体験し、参加者に「するっとごみを取り除ける」使いやすさを実感していただきました。排水フィルターの掃除が簡単になることは、地味ながらも生活を楽にする大きなメリットです!

するポイフィルター」と一般的な格子形状のフィルターを使い、
ごみの取れやすさの違いを体感していただきました

 実際に「するポイフィルター」を使うと、ゴミをするっと取り除くことができました。排水フィルターの掃除は、決して楽しい家事とは言えません。洗剤の混じったぬるっとした糸くずを取り除くのは嫌なもので、つい後回しにしがちです。その結果、水が流れなくなり、いざ掃除しようと思ったらせき止められた水があふれて洗面所が水浸しになってしまった……という失敗談もあります。しかし、「するポイフィルター」なら簡単にゴミを取り除けるので、掃除を後回しせずに済みそうです。

 参加者のみなさんは、生きものの驚くべき構造に興味津々の様子で、「生きものに着目して開発しているのがすごい!しかもそれが、家電と結びつくんですね。どうやって考えているのか興味があります」「シロクマの毛って透明だったんですか?はじめて知りました!」「自宅でシャープの洗濯機を使用していますが、ゴミがするっと取れるのは当たり前だと思っていました。こんな技術が取り入れられていることに驚きました」という声をいただきました。参加した子どもたちからも、「格子形状のフィルターはゴミがなかなか取れなかったのに、マンタのフィルターはちょっと触るだけで取れたー!これならお手伝いしたい」「シロクマの毛が透明なのは聞いたことがあったけど、形をまねるだけで、こんなに光の見え方が違うのは初めて知った」といった感想をいただきました。さらに開発メンバーにたくさん質問し、楽しみながら学んでいました。

■「自然が磨き上げた究極の機能美 バイオミメティクス」

 アトア3階のátoa LABでは、ワークショップでご紹介した、生きものが持つ優れた性質や特徴を模倣し、製品開発に役立てる「バイオミメティクス」に関する常設展示を7月から実施しています。実際の生きものの標本と、関連する製品をご覧いただけます。

 この常設展示では、本年1月にアトアで実施し、ブログでもご紹介した企画展「Nature LAB ~自然の法則を活かした未来のデザイン~」を集約した内容となっており、シャープの冷蔵庫の「ネイチャーテクノロジー」、シロクマの毛を応用したLEDランプカバーも紹介されています。「バイオミメティクス」を応用した企業の開発力など、生み出された製品を通して生きものたちの魅力を多方面から再発見することができます。

アトアオリジナルのバイオミメティクスに
ついての書籍
当社冷蔵庫に採用されているLEDカバーの紹介

 今回は、「ネイチャーテクノロジー」開発チームとして初めての、水族館でのワークショップでした。1,000人以上の方にご参加いただき、家電を通して生きもののすばらしさを体感することで、生きものにもテクノロジーにも興味を持っていただけたことと思います。ワークショップをきっかけに、未来のバイオミメティクス研究者や家電の開発者が生まれるかもしれませんね。また開発チームにとっても、参加者の感想を直接聞く機会は貴重な学びとなりました。これからも、自然の摂理に学ぶ、暮らしにも環境にもやさしい快適なモノづくりに取り組んでいきます。

<関連サイト>
ネイチャーテクノロジー
■製品サイト:冷蔵庫
       洗濯機

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