
シャープは、個人のお客様向けのエアコンや液晶テレビなどの家電から、スマートフォン・PCなどの情報機器、太陽光発電システムなどに加えて、法人のお客様向けの複合機やインフォメーションディスプレイ、液晶パネルや電子デバイスなど非常に幅広い分野の製品を展開しています。
これらの製品は、ご自宅あるいは職場などで毎日ご使用いただくものだからこそ、シャープは『長く使える安心』をお届けすることを第一に考えたモノづくりを推進しています。
11月の品質月間を迎えた今回は、シャープにおける品質への考えを、実際の信頼性評価試験の解説を交えながらご紹介します。
* 品質月間:企業や組織全体で品質意識を高め、品質管理活動を広く浸透させることを目的とした全国的な取り組みで、1960年から毎年11月に実施されています。
「品質は“安心”の土台」
長く、安心してご使用いただける製品を提供するために、モノづくりの現場にてさまざまな取り組みを行っています。
お客様がシャープ製品に求める“安心”とは、「不具合なく期待通りに動作することはもちろん、安心して長く使っていただけること」、さらに、「万が一、不具合が発生した場合においても、迅速・確実に修理されること」が含まれていると考えます。この“安心”を支えるために、私たちは製品の設計時などモノづくりの上流から品質を作り込み、評価試験などを通じてその信頼性を検証しています。
「信頼を支える品質評価試験」
シャープでは、それぞれの製品において、多くの信頼性試験や安全チェックを実施しており、その一部をご紹介します。
<個人のお客様向け製品>
■テレビ
シャープのテレビ「AQUOS」は、安心・安全に長期間ご使用いただけるよう、60種以上の信頼性試験と、190種以上の安全性チェック項目をクリアした製品をお客様にお届けしています。
●振動試験・落下試験・地震試験
→輸送時に発生し得る衝撃を想定した振動試験および落下試験に加え、地震発生時の安全性を確認します。


※1 ・試験波形:東北地方太平洋沖地震(青葉区)、阪神・淡路大震災(神戸区)で気象庁が観測した波形を使用し、加震可能な処理を行ったデータで揺れを再現しています。
・テレビは付属の転倒防止ベルトでテレビ台と固定した状態で実施しています。
・テレビ台は床に固定した状態で実施しています。
◇テレビ「AQUOS」の耐震試験の様子は動画でもご覧いただけます。⇒ AQUOS 耐震試験(製品動画ライブラリー)
●不要輻射試験・長期エージング試験
→自社電波暗室で、エミッション規格J55032※2(CISPR32)を満たすか確認の上、第三者認証機関で認証を取得(製品からの不要な電波で、家電や住居設備に影響が出ないか確認)。さらに、高温環境下(40℃)での安定動作・長期信頼性を確認します。


※2 エミッション規格J55032とは、PC・テレビ・オーディオ機器などに適用される「電磁両立性(EMC)の放出(エミッション)に関する規格」。具体的には、電磁波放出の上限を定めた日本国内の規格(JIS)。国際規格である CISPR32に準拠している。
■エアコン
平均使用年数が長いエアコンにおいても、厳しい信頼性試験を実施し、長期に渡る品質を確保しています。
●過酷な環境での動作テスト
→猛暑環境(50℃)、厳寒環境(-15℃)を想定した試験室で安定した冷房/暖房運転が持続することを確認します。

(サーモグラフィ画面)

●輸送振動テスト・燃焼(もらい火)テスト
→輸送時の振動を想定し、製品への影響がないことや、屋外での災害を想定し、室外機に火が燃え移っても燃え広がらないことを確認します。


◇エアコンの品質への取り組みは、こちらでもご覧いただけます。⇒シャープこだわりの品質(エアコン)
■住宅用太陽光発電システム
シャープの住宅用太陽光発電システムは、約60年の開発経験と、豊富な実地データやノウハウを基に、国際規格のIEC規格や日本のJIS規格よりも厳しい基準で品質試験を行っています。
●荷重試験・高湿/凍結試験
→台風の多い日本では強風に対する不安は大きく、また豪雪地域も多いため、太陽電池モジュールに、強風や積雪の負荷を想定した高い荷重を加える「機械的荷重試験」を実施しています。また、長期にわたる高温・高湿使用による材料の劣化や、太陽電池モジュールの絶縁不良、電気出力の低下の影響を想定した「高温高湿試験」や、高温高湿度に加え結露や霜、凍結の繰り返しを想定した「結露凍結試験」も実施しています。


●落下試験・腐食試験
→積乱雲から約時速30kmで降ってくる直径5mm以上の氷塊である雹(ひょう)などにも耐えうる設計とするため、鋼球を1m以上の高さから落下させる「鋼球落下試験」を実施。また、四方を海に囲まれた日本では、塩害対策も必須のため、「複合サイクル腐食試験」によって、塩分による腐食や電食(電気化学反応による腐食)に対する耐久性も確認しています。


太陽電池モジュール周辺機器に関してもさまざまな試験により、長期耐久性を追求しています。
●温度サイクル試験
→パワーコンディショナについては、太陽電池モジュールの発電状態を想定した模擬電源から長期間電力を入力する「温度サイクル試験」を実施して、気温差による発電量や安定性、耐久性の確認を繰り返し行っています。

◇太陽光発電システムの品質試験は、こちらでもご覧いただけます。⇒独自の品質試験(太陽光発電システム)
■ノートPC
ノートPCに求められる高い堅牢性と耐久性を実現するため、厳しい評価基準を設け試験を行っています。
●アクシデント時に大切なデータを守るための各種試験
→日常生活の中で起こりうる落下や衝撃でも動作すること、万が一の際にも大切なデータを守ることを基準とした試験を行っています。

PCをテーブルの上などから落とした際に、データを救出できるか確認します。

歩行や自転車移動中の振動を想定し、前後左右上下振動させて壊れないことを確認します。

満員電車などで、液晶カバーに圧がかかっても液晶パネルが割れないことを確認します。

キーボードに少量の水がかかってもしばらく動作するかを確認します。

日常で起こる静電気でハングアップ※3しないことを確認します。
※3 ハングアップ:コンピュータやソフトウェアなどが操作を受け付けなくなり、応答不能になる(=フリーズする)こと。
●長く快適にお使いいただけるようにするための試験
→キーボード、PCの開閉、コネクタなど、可動部の耐久性を追求しています。

長時間使用してもキーボードがへたらない、壊れないことを確認します。

長時間ヒンジ開閉してもへたらない、壊れないことを確認します。

USBなどのコネクタにケーブルを挿して、こじり(回転)ストレスをかけても壊れないことを確認します。

持ち歩き、キーボード打鍵などで基板の電子部品には絶えずストレスがかかります。そのストレスが基準以下であることを確認します。

液晶を勢いよく閉じてしまうことを想定し、
その衝撃への耐久性を確認します。
◇ノートPCの品質に対するこだわりは、こちらでもご覧いただけます。⇒dynabook の品質テスト(ノートPC)
<法人のお客様向けの製品>
■在車センサー
コインパーキングに設置する製品で、それぞれの車室(駐車区画)に在車センサーを設置して車両の有無を感知します。設置する環境(車両の種類、温度、天候など)に合わせ、試験方法を定めて確認しています。 (参考:コインパーキングシステム)

●耐久試験・強度試験
→在車センサーを車両で踏みつけても、破壊等がないことを確認します。


●耐圧試験・動作試験
→荷重確認を行い、製品スペックの約2倍の耐圧があることを確認。夏場の直射日光が当たるアスファルト表面や、冬場の放射冷却(物体が熱を放射して冷える現象)などを考慮し、高温環境:80℃、低温環境:-30℃にて試験を行い、在車センサーが正常に動作することを確認します。


●もらい火試験・防水試験
→車両の下に設置していることから、もらい火にて延焼しないことを確認。防水性能としてIPx6※4の試験を実施。また水没に耐えうる性能確認でIPx7※4相当の防水試験を行い、内部への浸水がないことを確認します。


※4 国際規格である「IPコード」の防水性能等級の一つで、防塵・防水の機能の有無や保護レベルを表す規格。IPx6は「いかなる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響を受けない」、IPx7は「規定の圧力、時間で水中に没しても水が浸入しない」。数字の大きい方が、保護レベルは高い。
今回は、品質月間をきっかけに、当社が日頃から取り組んでいる信頼性試験や安全チェックの一部をご紹介しました。ほかにもさまざまな試験を実施し、お客様のもとへ製品と”長く使える安心”を届けています。
「品質第一 私たちの心です」これは、当社内で掲示している品質への誓いを込めたスローガンです。
当社はこれからもお客様の笑顔と安心のために、「品質第一」を心掛け、品質へのこだわりを持ったモノづくりを続けていきます。
(品質Y)
<関連サイト>
■品質・安全性に関する取り組み(シャープサステナビリティサイト)
■AQUOS 耐震試験(製品動画ライブラリー)(液晶テレビ)
■シャープこだわりの品質(エアコン)
■独自の品質試験(太陽光発電システム)
■dynabook の品質テスト(ノートPC)
■テレビ「AQUOS」/エアコン/住宅用太陽光発電システム/ノートPC「dynabook」/コインパーキングシステム (各製品サイト)
■SHARP Blog
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