シャープエネルギーソリューション株式会社(SESJ)は、2025年度から2027年度までの中期経営計画の柱として「国内住宅用事業の強化」と「宇宙用太陽電池事業の拡大」を掲げています。特に宇宙用太陽電池事業では、世界市場でのプレゼンスを高めるため、海外展示会への積極的な出展を進めています。
2025年は、3月にアメリカ・ワシントンDCで開催された「Satellite 2025」への出展を皮切りに、9月にオーストラリア・シドニーで開催された「第76回 国際宇宙会議(IAC 2025)」、11月にドイツ・ブレーメンで開催された「Space Tech Expo Europe 2025」という、世界有数の宇宙関連イベントに出展しました。本記事では、その背景、取り組み、そして得られた成果について、SESJを代表して事業戦略推進部の小田、展示会でスタッフとして会場に臨んだ海外事業開発部の山野、カート、八尋、化合物事業推進部の十楚に聞きましたので紹介します。

■なぜ今、宇宙用太陽電池なのか?

(小田)世界中でインターネット接続の需要が増え続け、スマートフォンやIoT機器だけでなく、自動車や航空機などの移動体もリアルタイムでネットワークに接続する時代が到来しています。この膨大な通信需要を地上の基地局だけで賄うことは困難であり、解決策として注目されているのが低軌道(LEO)通信衛星です。
LEO通信衛星は、静止軌道衛星に比べてカバー範囲が狭いため、大量の衛星を打ち上げる必要があります。また、これらの衛星が宇宙空間での運用に必要とする電力のほぼすべては太陽電池によって供給されており、衛星運用を支える不可欠な技術となっています。さらに、1基あたりのコストは静止軌道衛星の約10分の1と低く、寿命も5~7年と短いため、今後も継続的に大量の衛星が打ち上げられる見込みです。この背景から、宇宙用太陽電池の市場は急速に拡大しており、SESJにとって大きなビジネスチャンスとなっています。

さらに、地政学的な要因も市場拡大を後押ししています。アジア・オセアニア、欧州では安全保障の観点から独自の通信システム開発が進んでおり、衛星の需要は今後も増加する見込みです。
■SESJの強みと成長戦略
SESJは、50年以上にわたりJAXA(宇宙航空研究開発機構)に宇宙用太陽電池を供給してきた実績を持ち、信頼性と技術力で業界をリードしています。さらに、シリコン太陽電池から高性能な化合物太陽電池まで幅広いラインアップを揃え、柔軟な供給体制を構築しています。

中期経営計画では、2027年度までに宇宙用PVの売上高を2024年度比で約5倍に引き上げることを目標に掲げています。そのため、世界有数の宇宙関連展示会への出展を通じて、海外市場での認知度向上と新規顧客獲得を加速させています。

■海外展示会での挑戦と成果
第76回 国際宇宙会議(IAC 2025)(オーストラリア・シドニー)

(山野)世界最大級の宇宙・衛星関連学会であるIACには、約17,000人(業界関係者:約7,000人、一般入場者:約1万人)が来場しました。SESJはJAXAブースにて最新の薄膜化合物太陽電池3タイプを展示し、アジア・南半球地域の新規顧客との接点を強化しました。


特に注目を集めたのは、軽量フレキシブルIMMシート。この最新鋭の反転型メタモフィック多接合型太陽電池は、軽量性と高効率を兼ね備え、衛星の設計自由度を高める革新的な製品です。JAXA認定メーカーとしての信頼性と技術力をアピールできたことは大きな成果でした。さらに、一般開放日には多くの来場者が訪れ、シャープが宇宙用太陽電池を製造していることを広く認知していただけたことも重要なポイントです。オーストラリアでは「シャープ=家電メーカー」というイメージが強いため、この展示はブランドイメージの刷新にもつながりました。

Space Tech Expo Europe 2025(ドイツ・ブレーメン)

(十楚)欧州最大級のB2B(企業間取引)展示会で956社が出展、来場者は約12,300人、ドイツ有数の航空宇宙産業拠点であるブレーメン市のMesse Bremenで開催されました。SESJは通信事業本部と共同で、太陽電池とLEO衛星通信端末を展示しました。
特徴的だったのは、来場者の約8割がビジネスパーソンで、機器や材料系メーカーが多く、システム系の企業が少なかったことです。SESJは実際に製品に触れてもらい、性能や信頼性を直接訴求することで、具体的な商談につなげる戦略を展開しました。

(カート)私はマーケティング調査と営業を担当しています。現地ではブースへ訪問客をどんどん呼び込み、質問などを交えて、情報収集に努めました。このような展示会はマーケティング調査の観点からも非常に重要です。
現在、欧州地域は、独自で安全保障を確保する必要性を感じており、宇宙開発でも多くの資金が入って来ており、スタートアップ企業の参入も増加しています。また、地政学的な理由によるためか、日系メーカーにビジネスチャンスが拡大していることを実感しました。

(八尋)通常、宇宙用太陽電池事業の商談は、高い信頼性を求められることから、引き合いから受注・納品までには長い期間がかかります。そのため、展示会などに積極的に出展して認知度を上げ、直に製品を見て触ってもらい、商談をすることがとても重要です。
また、信頼関係の強化のため、実際にお客様を訪問することも大切で、この機会にキャラバン営業で欧州のお客様を訪問して回り、関係構築にも努めました。今後、入札を経て商談を進展させる中で、営業部門と技術部門で連携し、契約締結をめざします。

(ドイツ・ブレーメン市)



■今後の展望
(小田)LEO通信衛星の普及は、通信インフラの未来を変える大きな潮流です。SESJは、JAXAとの連携で培った信頼性と幅広い製品ラインアップを武器に、国内外の展示会出展を継続し、宇宙市場での競争力をさらに高めていきます。SESJは早期の体制強化を進め、新規顧客の獲得に向けて営業活動を加速させ、宇宙用太陽電池市場で確固たる地位を築きたいと考えています。
「家電メーカー」というイメージを超え、宇宙ビジネスに挑戦するシャープの姿に、ぜひご注目ください。
ニュースリリース
(広報C)
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