5G時代のゲーミングスマホ開発とは?「TGSフォーラム2019」基調講演でスマホ事業責任者が語る!
2019年10月1日
9月12日、幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ(TGS)フォーラム2019」の基調講演として、パネルディスカッション「5Gインパクト~5Gによって“ゲームチェンジ”は起こるのか?」が開催されました。
5人のパネリストの1人に当社通信事業本部パーソナル通信事業部長の小林繁(以下、小林さん)が登壇し、端末メーカーとして、5Gスマートフォンの準備状況や展望、ゲームへの対応などについて意見を述べましたので、ご紹介したいと思います。

左から4番目が小林さん
(進行役)端末メーカーとして、5G性能実現のために、どんなことに取り組んでいますか?
(小林)当社は国内のAndroid端末でここ2年ほど1位※のシェアをいただいているメーカーで、昨今は多くのゲーマーの方々にもお使いいただいています。特に、昨年12月に発売したAQUOS zeroは国内最大級のeスポーツイベントRAGE(レイジ)においてゲーマーの皆さんにご試用いただき、圧倒的な軽さ(146g)とハイスペックに高い評価をいただいています。
※ BCNランキング(2017/2018年)携帯電話のAndroidスマートフォンメーカー別販売台数に基づくシャープ調べ。
スマホの開発において、スペック以外では「表示のリフレッシュレートが倍速(120Hz)の状態で、端末の表面温度を5℃下げる放熱機構」、「充電しながらゲームをするという放熱に不利な状況で、なるべく温度上昇による制限をかけずに動作する熱分散設計」を目指して取り組んでいます。

放熱系の工夫のサーモグラフ(イメージ)
左)表面温度を5℃下げる放熱設計
右)充電系統を2つに分けて全体としての発熱を減らす熱分散設計
(進行役)5G端末はいつ出しますか?
(小林)先頭集団で発売したいと考えています。ハイエンドの端末は早期に5Gになると思います。
(進行役)ある程度5Gが普及したとして、「1ms」でゲームはどう変わりますか?
(小林)端末メーカーとして、ユーザーインターフェースの遅延がネックになってきます。
タッチパネルの検知、表示で合わせて数十msの遅延が起きているので、これを極限まで減らしていかなければならないと感じています。
(進行役)3~4年後に、「5Gスマホ」はどのような物になるのでしょうか?
(小林)通信速度はどんどん速くなると思いますが、それを瞬間ではなく、どれだけ持続できるかを競う時代になると考えます。スマホの熱は主に、ディスプレイ周り、処理周り、通信周りで出ます。特に5Gでは通信周りの熱が多くなり、今までのバランスが崩れるため、形や構造を大きく変えて技術革新していくことが必要だと感じています。
また、5Gスマホで高解像度動画を見るようなサービスには、クラウド側で大容量データを多数の端末へ同時に送信するストリーミングシステムへの投資が必要だと思います。まさにそんな時代が来るはずです。5G技術が通信サービス全体の質を向上させ、4G(LTE)のお客さまにもメリットをもたらすと思っています。
(進行役)端末メーカーの力の差が出ると思いますが、いかがでしょうか?
(小林)はい、正直、我々も必死ですけれども、そうなると思います。スペック性能の数値を競う時代から放熱機構、端末形状(持ち易さ)など超アナログ的なところで戦う時代になってくると思います。

ディスカッションを聴いて
すでに、イベントなどで5Gプレサービスが始まっていますが、現実としては、徐々に5G時代に変わっていくだろうとのことでした。なぜなら、一部のエリアから数年かけて広げていくこと、スタート時の実際の端末の通信速度は、数Gbps、遅延は数~数十msであり、最初からピーク性能が実現できるわけではないからです。そして、その後、通信速度はダウンリンク20Gbps、アップリンク10Gbps、片道遅延時間は0.5msまで向上していく予定との紹介もありました。
また、最後に、進行役から「ゲームが5Gの実験場になるだろう」という見解が示されました。5Gはさまざまな分野に恩恵をもたらす技術ですが、遠隔手術や自動運転などの人命に関わる分野で実用化するにはまだ時間が必要です。しかしゲームなら人命に関わることはありませんし、イベント会場で大人数がシンクロするゲームなど、実験的な活用もしやすいだろうということでした。
当社は、「8K+5GとAIoTで世界を変える」を事業ビジョンとして掲げています。国内におけるAndroid端末のリーディングカンパニーとして5G環境の早期普及に貢献していきたいと思います。
(広報担当:C)
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