SHARP Blog

【物流について考えよう】シャープ物流お役立ち企画チームブログ 第7回:パートナー製品をラインアップに加える想い

2026年1月26日

著者:広報C

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

みなさま、大変ご無沙汰しております。シャープ物流お役立ち企画チームのミヤザキです。前回のブログから1年以上になりますが、この期間多くのお客様とお話ししながらお役立ちの方法を考えてきました。さまざまなお伝えしたい取り組みがあるのですが、今回は当社の自動搬送装置ではなく、当社と同様に自動搬送装置を開発・販売されているメーカー様とパートナーとなり、シャープの製品同様にお客様の現場へお届けすることにした経緯と想いをお伝えしたいと思います。

ご紹介するパートナー企業は、AiTEN Roboticsさま(以下、AiTENさま)です。AiTENさまは、中国に本社があり世界各地で自動搬送装置を販売しており、いわば私たちの競合企業の1社です。

シャープがパートナー製品を扱う意義

そもそもなぜシャープが自社の自動搬送装置ではない他社の製品を取り扱う方針にしたのかということから、お話しいたします。

製造工場や物流のお客様に当社の自動搬送装置をご導入いただいておりますが、お客様の現場のニーズはそれぞれの現場ごとに違います。搬送したい物の荷姿は大きさや重さ、壊れやすさなど、条件が多様です。搬送する場所も、距離も、回数などもさまざまです。このような多様な現場に対応するために自動搬送装置も同じ物だけでは対応できず、スペックの異なる多数の製品ラインアップが必要になります。そして、それらの製品を現場にフィットするようにカスタマイズすることが必要になるような場合も多いのです。

シャープは長年自社工場の生産性向上のため、現場に合う自動搬送装置を開発してきました。そのノウハウを活かし、お客様の現場に合わせて自動搬送装置そのものをつくり変えてご提供もしています。以前のブログでも触れたように、現場の状況に合わせて当社SEによるエンジニアリング力で導入を進めていくわけですが、自動搬送装置の製品自体をカスタマイズして導入が進められるエンジニアリング力がある企業はそう多くありません。この点が当社の強みです。

しかし、残念ながら自社製品だけではお客様の現場のご要望を満たせないというケースも時々あります。その場合、お客様側で異なるメーカー製品の導入を合わせてご検討いただくことになりますが、導入のエンジニアリングを別々に進める必要が生じ難易度が高くなっていきます。特に最近では、パレット搬送のご相談を受けることも多かったのですが、当社のこれまでの搬送システムでは、パレットを置く専用架台(コタツ架台と呼びます)を使用する必要があり、現場の運用に合わずに断念したケースもありました。

お客様のご要望に合わせて新しい製品を当社で開発していくことも重要ですが、いまお困りのお客様のご要望に素早く対応するためには、すべてを新規開発していくことが正解とも限りません。特長ある製品を開発している他社とタッグを組んでお客様の課題に対応していくことが必要であると判断いたしました。

パレットとは

ここでパレットをご存じない方もいらっしゃると思い、すこし解説いたします。パレットとは、荷物を輸送・保管するために使用される荷役台のことです。段ボール箱や袋物、ケース商品などをパレットの上にまとめて載せることで、フォークリフトやハンドリフトで一度に運べるようになり、人が箱を1つずつ持って運ぶのに比べて作業を速くできます。このように多数の荷物を一つの単位(ユニット)として扱う方式を、物流用語で「ユニットロード」と呼びます。

パレットにはさまざまな種類があり、用途や現場環境によって使い分けられていますが、一般的に多く使用されるのは上部に囲いや蓋などを持たない「平パレット」です。ここでは「平パレット」についてお話します。材質は主に「木製」「樹脂(プラスチック)製」「金属製」「紙製」に分かれます。

形状の違いがパレットの最も大きな分類ポイントですが、代表的なのが「片面使用パレット」と「両面使用パレット」です。片面使用パレットは上面だけに荷物を載せる構造で、下面はフォークリフトの爪を差し込むための空間になっています。構造がシンプルで軽く、価格も比較的安いため、多くの物流現場で使われています。

一方、両面使用パレットは、上下面の両方に板が取り付けられた構造になっているため、しっかりとした作りで強度が高く、重い荷物にも対応しやすいパレットです。

また、フォークリフトの差し込み方向も重要です。日本の物流現場では、「四方差し」と呼ばれる、前後左右のどこからでもフォークリフトの爪を差し込めるパレットが多く用いられています。限られた倉庫スペースのレイアウト変更や、狭い通路での作業、トラックの横付け・縦付けの混在などに柔軟に対応できる作業性の良さが非常に重視されています。

差し込み方向が二方向に限られる「二方差し」パレットは構造が簡単で安価ですが、作業自由度が低く、日本では用途が限定される傾向にあります。


さらに、パレットの下面構造には、桁の配置形状による違いがあります。下面の構造が漢字の「田」の字のように桁で区切られているものは「田の字パレット」と呼ばれ、底面構造のバランスが良く、強度と汎用性に優れることから、日本国内で広く普及しています。一方、下面の桁構造が平行に配置され、漢字の「川」の字に見えるものは「川の字パレット」と呼ばれます。

そして、日本ではトラックの荷台寸法や倉庫内レイアウトとの相性が良い1100×1100mmサイズの田の字パレットが事実上の標準として広く普及しています。

下面から見たイメージ

日本では1100×1100mmサイズの田の字パレットが多数使われるなか、これまで、このパレットを自動搬送するシステムの選択肢は多くありませんでした。しかし、近年、業界に変化がみられるようになってきました。

AiTEN社のパレットハンドリングロボット

AiTENさまと当社の出会いは、2024年4月にAiTENさまから当社へ直接お声がけいただいたところから始まります。当時はまだパートナー製品取り扱いの明確な方針がなく協議は進みにくかったのですが、当社にない無人フォークリフトのラインアップをお持ちであるということもあり、どのような組み方ができるか検討を進めておりました。

プロジェクトの本格始動はそれから1年後の2025年4月からになります。AiTENさまのラインアップのなかで田の字パレットに対応した新しい製品の開発が進められており、当社がその製品の取り扱いを決めたことによりプロジェクトが立ち上がりました。AiTENさまも日本国内で保守・サービス網の構築を進められているなか、当社の定評のある保守・サービスを利用できることに強い関心を示していただき、両社にとってお互いを補完する最適なパートナーとなったのです。

さて、当社がなぜAiTENさまの新製品であるパレットハンドリングロボットに強い関心をもったのかについてお話しします。

前述のように、これまでの自動搬送装置ではパレット搬送に専用のコタツ台を必要としていましたが、近年、床置きのパレットを直接扱うために自動フォークリフト(AGF)が使われ始めています。ただ、AGFはまだ本体価格が高額であることや、走行のための通路幅を広くとる必要があること、法定点検が必要なことなど、導入するためのハードルが低くはありません。

AiTENさまの新製品「TPX150」は、フォークリフトのマスト部(前方にあるフォーク(爪)を上下に動かすための支柱)を廃止し、フォーク部を本体に収納可能なコンパクト設計となっており、さらに、車輪を本体中心に配置することで小回り可能な旋回半径を実現しています。そして、これまでのモデルの多くが川の字パレットの対応だったのに対し、本製品は田の字パレットに対応しています。これは、狭い通路幅でパレットを敷き詰めている日本の物流や製造現場において、パレットを搬送する最適解となるのです。加えて、本製品はフォークリフトのマスト部を持たないため、フォークリフト扱いとならないことから、法定点検も必要ありません。これまでの高い導入のハードルを大きく解決したソリューションだと思います。

シャープのエンジニアの取組み

プロジェクトは、製品の開発初期で、詳細仕様が確定していない段階からスタートしました。当社のエンジニアは、情報が限られているなか、導入後のお客様の運用のイメージができるよう、当社独自に「TPX150」製品紹介資料を作ることから取りかかりました。多くの中国語資料を読み込みながら進める必要があるため、中国人の社員もプロジェクトに参加し、オンラインで連日AiTENさまと会話を続けました。不明点を明らかにし、必要に応じて開発へもフィードバックしながら、粘り強く仕様の確認と、社内外に向けた当社取り扱いに向けた関係資料の作成を半年間続けました。

エンジニアにとって、仕様の理解だけでは不十分で、実機の取り扱い経験が重要です。しかし、当時はまだ開発段階の製品であり、エンジニアが製品知識を修得するための実機サンプル機が日本にない状態でした。そこで、いち早くエンジニアリング力を磨くため、当社のエンジニア5名がAiTENさまの揚州工場(江蘇省)を訪問し、現場導入に必要な各種研修を受けることにしました。研修内容は多岐にわたり、お客様の現場での地図作成や経路作成、制御ソフトの取り扱い、シミュレーション、他の機器との連携、部品交換などのメンテナンスといった項目をしっかりと理解し、自社製品と同等に扱えるまで身に着けていきました。そして、AiTENさまの認定試験を受験し、「初級導入支援スペシャリスト」の資格を取得しました。このように、当社エンジニアは、豊富な自社製品取り扱い経験をバックグラウンドにしながら、パートナー様商品の取り扱いの第一人者になるための努力を続けています。

AiTENさまのパレットハンドリングロボット「TPX150」の取り扱いは、シャープによるパートナー製品取り扱いの最初の一歩です。これから、他にも多くのパートナー企業様の製品を取り扱っていきます。

複雑なオペレーションを必要とする多様な現場では、自社製品だけでお役立ちすることが難しい中、私たちはパートナー企業と信頼関係を築きながら、パートナー製品をシャープ製品同等の信頼を保証するエンジニアリング力でお客様の現場に導入していきたいと思います。こうしてお客様にご提供するラインアップを増やし、お客さまの課題をすべて解決できるようになりたい、これがいまの私たちの想いです。これからも、新しい取り組みをどんどん行っていきますのでご期待ください。

TPX150の仕様については下記の資料をご覧ください。
https://jp.sharp/business/agv/download/#partnerProductsDownload

他のAiTEN様の製品情報は下記サイトをご覧ください。
https://www.aitenrobot.com/ja

また、シャープ AGV製品については製品情報サイトをご覧ください。
https://jp.sharp/business/agv

 

引き続き様々なお話を伺いたいと思います。
是非、下記メールアドレスまでお気軽にご連絡ください。
rb-plan@sharp.co.jp

私たちシャープ物流お役立ち企画チームからお答えいたします。

第6回:総合機械商社のエンジニアに伺った話
第5回:工場内物流最適化展へ初の大規模出展
第4回:物流現場の課題を見える化するということ
第3回:物流新人が挑む、
「物流改善でお伝えしたいこと」
第2回:倉庫の自動化において
マテハンメーカーが知っておくべき課題
第1回:まずは2024年問題について感じたこと

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Top