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介護現場への実装を後押し。神奈川県とORPHE社が語る「介護向けAIトレーナー」への期待(2/2)

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シャープ開発担当者と神奈川県 ロボット開発支援事業担当者
(左から、「介護向けAIトレーナー」開発担当 石本、岳野(チームリーダー)、
神奈川県 産業労働局 産業部 産業振興課 課長代理(2025年度当時) 原山 堅 様、同 主任主事 一瀬 淳 様 )

前回(テレビとAIで介護現場を支える。開発者が語る「介護向けAIトレーナー」の挑戦(1/2))は、「介護向けAIトレーナー」の概要や開発のきっかけ、介護という新ジャンルへの挑戦などについて話を聞きました。

今回は、神奈川県ロボット開発支援事業担当の神奈川県 産業労働局 産業部 産業振興課 課長代理の原山 堅 様(2025年度当時)、株式会社ORPHE 代表取締役/CEOの菊川 裕也 様にお話をうかがうとともに、「介護向けAIトレーナー」の今後の展開をご紹介します。

まずは、原山 堅 様に神奈川県のロボット開発支援事業の概要に加え、当社の「介護向けAIトレーナー」を選定した理由や評価ポイントなどをお話しいただきました。

原山 堅 様

神奈川県 産業労働局 産業部 産業振興課 主任主事 一瀬 淳 様、同 課長代理 原山 堅 様(右)

― ロボット開発支援事業について教えてください。

(原山様)神奈川県ではロボット政策の柱として「さがみロボット産業特区」の取り組みを進めています。ロボットやテクノロジーの力を使って社会課題を解決していくことがミッションで、ロボットの社会実装の加速化に力を入れています。その中でも「ロボット開発支援事業」は、実用化に向けてロボットの開発経費を支援するものです。ユーザーに使っていただけるようなロボットを少しでも多く市場投入していきたいと思っていますが、この事業を通して、あと一息で市場に出せるというような、最後のフェーズにあるプロジェクトの背中を押すという趣旨の取り組みです。また、経費支援をするだけで終わりではなく、実用化に向けた実証場所の提供や実用化後の県民や企業への導入促進のための支援も併せて行っています。

「さがみロボット産業特区」の対象地域(神奈川県HPより)
(相模原市 平塚市 藤沢市 茅ヶ崎市 厚木市 大和市 伊勢原市 海老名市 座間市 綾瀬市 寒川町 愛川町)

― なぜ当社を選定いただいたのですか?

エントリーいただいた中から外部の有識者が審査、その結果を踏まえ神奈川県として判断した結果、シャープさんのプロジェクトを採択しました。審査では、「介護向けAIトレーナー」の前身の「AIヘルスケアトレーナー」をもとに、姿勢分析を上手く活用すれば介護分野で使えるという説明を受けました。

シャープさんのプロジェクトを高く評価した要因は、機能訓練を効率よく実現できるシステムだと判断したことです。審査員から、「介護予防の観点から、社会貢献度が高い案件なので、シャープに期待しています」、「テレビを活用したところは、非常に着眼点として面白いし、ユーザーインターフェイスという点においても強みを持っています」といったご意見がありました。AIを活用するなど、最新の技術を取り込んだことも高い評価となりました。

 

―「介護向けAIトレーナー」の率直な感想についてお聞かせください。

介護ロボットや介護のテクノロジーは、通常のロボットに比べてハードルが高いです。介護現場への導入は施設の利用者や現場で働くスタッフにとって利便性が高まるだけでは足りず、安全かつ快適でなくてはいけない。それに加えて、利用者のご家族にもこれらをご理解いただかないと、製品としての定着が難しい分野だと認識しています。そのような前提の中、PDCAをしっかり回すような仕組みになっているだけでなく、理学療法士さんが足りないという現場の声を把握して企画されていること、さらに、ゲーム性を取り入れ、利用者が楽しみながら、できるだけ長く自立した生活を送れるよう支援できること、そして、ご家族の方にも安心してもらえるというところも含めて、トータルで、うまくロードマップが描かれたプロジェクトだと思っています。

 

―今後の方針を教えてください。

市場に投入され、販売するところまで一緒に伴走して応援していくのが「さがみロボット産業特区」のスタンスですので、今後も、追加の実証などが必要であればお手伝いしますし、さらには、必要であれば改良や販路開拓などの支援もします。商品化の際には、積極的に広報してまいります。

 

― 最後に一言お願いします。

シャープさんのような技術力もブランドもある会社とタッグを組めるというのは非常に嬉しいことです。シャープさんのテクノロジーが世に出ることをとても楽しみにしている人が多いと思うので、どんどん背中を押させていただこうと思っています。

最後に、神奈川県は生活支援ロボットを活用して社会課題の解決を図っていこうと全国に先駆け、13年前に「さがみロボット産業特区」の取り組みをスタートしており、現時点でも推進段階の中、AIの進化にともない優れたロボットが出てきて、市場が出来始めています。これからも「ロボットあふれる神奈川にしよう」と推進の旗を振る知事のもとで神奈川発のロボットを日本中に広げていきたいと思っています。


続いて、当社と株式会社ORPHEとの関わりについて、株式会社ORPHE 代表取締役/CEO 菊川 裕也 様にうかがいました。

菊川 裕也 様

 

― どういうきっかけで当社と知り合ったのですか?

(菊川様)理学療法士という観点での仕事ではないのですが、2023年の「SHARP Tech-Day」のイベントで、開発チームのリーダーである岳野さんも関わっていたテレビ「AQUOS」のハッカソン(「Future AQUOS Hackathon in SHARP Tech-Day」)の司会を私がやりました。ハッカソンという取り組みに慣れているからということでお呼びがかかったと聞いています。

その際、イベント後に緊急で行われた「AIヘルスケアトレーナー」の実証実験を行うためのブレストに、なぜだかよく分からないのですが、私もそのまま参加しました(笑)。そこで意気投合し、付き合いが始まった感じです。

 

― ORPHE社について少し教えてください。

当社が主にやっているのはスマートシューズの開発です。データだけ取れても価値付けができないとビジネスとしては難しいので、スポーツバイオメカニクスに詳しい博士号を持っている人や、医学的な見地がある理学療法士のメンバーを集めました。整形外科の歩行分析の検査に使うランニングシューズも取り扱っています。

こうした歩行分析の知見もありますし、なにより、画像を使った解析はもともとやっていましたので、シャープさんの「AIヘルスケアトレーナー」や今回の「介護向けAIトレーナー」の開発にお役に立てたと思います。

開発担当 岳野、株式会社ORPHE 代表取締役/CEO菊川 様(右)

― 協業することでの御社側のメリットとは何でしょうか?

ハッカソンの司会をした時から、テレビというインターフェースがヘルスケアのプラットフォームになるという可能性をものすごく感じていました。私が扱う靴は、日本だと室内では履かないので、補捉できる範囲がすごく限定されているのですが、室内で行う「介護向けAIトレーナー」は、我々の技術ともすごく親和性や補完性があり、協業することでとても広がりが出てくるなと思っています。先ほども言いましたように、屋外は靴(当社)、室内はテレビとすることでさらに精度の高いサービスを実現できる可能性が大いにあると思っていますので、これからも連携できればと思っています。

  


最後に、「介護向けAIトレーナー」の今後の展開や当社担当者の想いを紹介します。

― 今後の展開は?

(岳野)本年2月に、有料老人ホーム「プライムガーデン海老名」(神奈川県海老名市)で本ソリューションを用いた機能訓練の実証を実施。介護現場での有用性を確認するとともに、スタッフから使い勝手などに関するフィードバックを得ました。さらに、社会福祉法人善光会 特別養護老人ホーム「フロース東糀谷(ひがしこうじや)」(東京都大田区)でも、10月5日(月)から11月1日(日)まで、機能訓練におけるスタッフの業務負担軽減効果に加え、利用者の取り組みやすさや運用面での有用性などを検証しました。今後は、ローンチに向けて生産性向上の仮説立案をはじめ、介護施設のご協力のもと、仮説検証等を実施していく予定です。あわせて、ビジネスモデル確立も進めていきます。

 

― 今後の想いなどお話しください。

(渡邊)自治体(神奈川県)の補助金事業として、プロジェクト形式で取り組みましたが、事故なく、提示した計画内で開発を遂行、クローズ出来たことは良い経験でした。しかし、量販店でのハード売りを想定したビジネスモデルではないことから、事業化の障壁はまだまだ高く感じています。まずは、1台でも介護施設等で導入いただき、成功体験を積み上げていければと考えています。

 

― 原山様、菊川様、「介護向けAIトレーナー」担当者のみなさま、ありがとうございました。

<前回の内容はこちら>


私の親も杖が必要になってきて、機能訓練の大事さが身に染みてわかるようになってきました。高齢化が進む日本の社会に、介護分野のソリューションは強く求められています。「介護向けAIトレーナー」は、介護施設向けとして開発していますが、今後、もし自宅でも使えるように進化すれば、さらに多くの方に使ってもらえそうです。本サービスの実用化にご期待ください。

(広報H)        

<関連サイト>
■ニュースリリース:
・AIとテレビを活用した「介護向けAIトレーナー」の実証を介護施設で実施
・AIとテレビを活用した「介護向けAIトレーナー」を開発

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